東日本大震災から15年。あなたは福島の現在を、真実を知っていますか?
震災と原発事故を経た福島はいま、どこまで復興し、どんな課題を抱えているのか。報道だけでは見えてこない「現地の現実」と、そこに真正面から向き合う経営者の覚悟について、福島建機株式会社 代表取締役の加瀬元三郎氏にご講演いただきました。
加瀬氏が掲げる志は、「福島の本気を発動し、日本を元気にする」というもの。福島がこのまま退廃してよいはずがないという義憤と、「福島でできれば日本中でもできる」という信念のもと、地域再生に挑んでいます。
講演では、グループ会社である株式会社GENXリサイクルの取り組みが紹介されました。同社は浪江町の避難区域にある採石場を取得し、建設発生土を受け入れて改良土として再資源化・販売する事業を推進しています。福島第一原発から約5〜6km圏内という厳しい立地で、環境配慮と地域理解の両立を目指す挑戦です。事業への取組の背景には、熱海市の違法盛土災害を契機とした2023年の法改正があり、建設発生土の適正処理と循環型経済への貢献が求められています。
一方で、その道のりは平坦ではありません。地元には外部事業者への警戒感があり、「原発マネーをあさる存在」と見られることもあったといいます。加えて、2024年9月の台風被害、2026年初頭の大量受注キャンセルなど、幾度も困難に直面しました。それでも現地で丁寧な説明を重ね、少しずつ信頼を築いてきました。現在は中間貯蔵施設への運搬を通じて事業を進めており、4月22日には新プラントの開所式を予定しているとのことです。
加瀬氏は、浪江町が抱える深刻な現実についても語りました。震災前に約2万人いた人口は、登録上約1万4600人となった一方、実際の居住者は約2200人にとどまります。小学生は1700人から86人へと激減し、若い世代の減少と労働力不足は深刻です。さらに、賠償金依存の長期化が働く価値観にも影響を与えているのではと指摘しました(この話をされるときの氏は、とても心苦しそうで、申し訳なさそうな表情でした)。復興には、交通インフラの整備や政治的支援だけでなく、自治体の在り方も含めた現実的な議論が必要だという提言は、非常に示唆に富むものでした。
また、震災後の政府の情報発信に対する不信感が、福島だけでなく日本全体に残っていることにも言及されました。だからこそ、自ら現場を見て、知って、考えることが重要であり、政府任せにしない自助の姿勢が必要だと加瀬氏は訴えました。
講演の最後に加瀬氏は、「ぜひ福島に来てください。私が案内します。魚もうまいです。」と呼びかけました。福島で起きていることは、人口減少、産業の衰退、地域再生という、日本各地がこれから直面する課題そのものです。福島の現実を知ることは、日本の未来を考えることでもあります。
「暁の会」には、氏と同じく福島または東北で活動する企業や建設、地域再生に携わる企業の経営者も多く、今回の講演は、そのことを強く認識させられる貴重な機会となりました。








